腰痛とコラーゲン

ある日急に腰が痛くなり、整形外科を受診、レントゲンを撮ってお医者さんに「異常はありませんね、暫く様子を見ましょう」と湿布を出して頂いて帰ってきた。こんな経験は誰しもあるのではないでしょうか?こんなに痛いのに?異常なしってなんだか腑に落ちないなぁ。

それもそのはず、実は腰痛の約85%は“非特異的腰痛”といって原因が特定しきれないものなのです。残りの15%の中に含まれる腰椎圧迫骨折や椎間板ヘルニアなどをレントゲンで調べて、そこには異常ありませんとおっしゃってるという事ですね。

そもそも腰痛とは病気の名前ではありません。腰が痛い症状をまとめて指す言葉です。

厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」によれば、病気やケガなどによる自覚症状が最も多いのが腰痛である事が明らかになっています。これは日本人成人の4人に一人が腰痛を抱えている計算になります。そんなにも多くの人が苦しんでいる腰痛の大半が原因不明だとは大問題ですね。

痛みとは、体内の危険を知らせる重要なサインです。危険なものから遠ざかって身体を守るための仕組みです。体内にある痛みセンサーが刺激によって出現する電気信号を受け取り神経を伝わって脳に「痛い!」と知らせます。痛みセンサーがある場所は決まっていて、真皮・筋膜・関節包・骨髄です。これらにはコラーゲンで出来ているという共通点があります。

コラーゲンは人間の体内にあるたんぱく質の約30%を占めていて重要な役割をしています。

細胞同士をつなぎ合わせ、身体をしなやかに保っています。しかし、残念な事に年齢とともにコラーゲンの量と質が低下していきます。真皮のコラーゲンが失われるとしわやシミになり、関節包のコラーゲンが失われると関節痛になり、筋膜のコラーゲンが失われるとコリになっていくのです。このようにコラーゲンが失われて弾力がなくなった関節や筋肉では痛みが発生しやすくなり、豊富にある痛みセンサーが脳に痛みを伝えます。その結果、筋肉は緊張し血管は収縮し「虚血」と言われる血行不良が起きます。そのため血液によって運ばれる酸素が不足し、痛みの信号を出す体内物質がその場から運び出されなくなってしまいます。こうなると痛みセンサーのスイッチが入ったままになってしまいます。

つまり、この状態が腰に起きているのが、腰痛ではないかと考えています。レントゲンには筋肉もコラーゲンも映らないので、はっきりした原因は不明となっているのではないでしょうか?

では、加齢とともにコラーゲンが少なくなった人は誰でも腰痛になるのでしょうか?それは違います。コラーゲンはよく動かす場所に集まる、と言う特性を持っています。同様に血管と血流もよく動かす場所に増えていきます。つまり、適切な運動をして動かす事でコラーゲンと血流を増やし腰痛を予防する事ができるのです。

何事も予防が大切です。お肌の張りも大切ですが、筋肉のコラーゲンを増やしていつまでも若々しく痛みのない生活をしていきましょう!

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